今回は完成すると見えなくなってしまうけど、1番重要な
「下地工事」
についてご紹介!
大工を生業としている身としては悲しい事ですが、大工工事に置いて完成後に見える仕事は少なくなってきています。
内装の仕上げだと、
・クロス(壁紙)
・漆喰
・珪藻土
・板壁
・タイル
色々とありますが、最近ではクロスを選ばれる方が増えています。
「クロス貼っちゃうんだから下地なんて」
と思う方もいるかもしれませんが、そんな事ありません!!
確かに完成した直後はどれも綺麗になっているので分かりづらいですが、年数が経つにつれて違いがハッキリと出てきます。
特にリフォームでは柱を残す事が多いので木材の変形も見ながら下地を作らないと凸凹の壁が出来てしまいます。
木造に関してはどんなお家も年数がたつにつれて木材の変形が起きるため、調整が必要ですし既存箇所との取り合い部はいつも頭を悩ませます。
床組
今回の現場は以前にリフォームで床を重ね貼り(既存の床材の上に重ねてフローリング等を貼る事)を施工していました。
本当は全部の床を壊して直せば、床の高さを統一出来ますがどうしても費用が掛かってしまいます。
今回はLDKに変更するスペースの床を直しました。
既存のお部屋は写真のような形。
天井や壁の解体中は床を残しますが、最後に床を撤去します。
撤去後
床を壊すと下は土が出てきました。
今のお家は床下もコンクリートを打ち込まれていますが、以前は基礎の形状が違うので土になってる事が多いです。
土ですと、下からの湿気が上がってきて床板を劣化させていきます。
フローリングがフカフカしてきてしまうのはこれが原因の事が多いですね。
既存の束石を使用し、大引き(床組の下地となるもの)を設置。
白アリ対策として、防腐剤の注入材を使用しました。
大引きを支える束は鋼製束に変更。
壁際には根太を固定する為の下地も設置。
防蟻剤も塗布します。
さて、先程の土の湿気対策はコンクリートを打設すれば解決ですが予算が…
とういう事で防湿ビニールを敷き込み。
「え?ビニール?」
と思うかもしれませんが、侮れません。
ビニール敷き込み後。
下からの湿気でビニール下が結露しています。
丁寧にビニールの継ぎ目や端部を処理してあげると湿気が上に来るのを防げます。
補足ですが床組を施工する時は水平を確保していきますが、既存のサッシが片方落ちてしまっていました。
工事範囲が少ないと斜めに床を作る場合もありますが、今回はキッチンの設置もあるのでどうしても水平に直したかったので
一度サッシを外して水平の調整を行いました。
根太
床断熱材
下地合板貼り込み
簡単な工事のように思いますが、リフォームに関しては既存箇所との取り合いをしっかり考えて施工していかないと後で直すのは難しくなりますので慎重に進めます。
合板施工後
なんでブルーシート?
これには理由があります。
浴室コンクリート打設
今回は浴室の改修工事もある為、浴室の床下にはコンクリート打設が必須になります。
浴室解体後
お水やお湯、排水の配管を直して
コンクリートを打ち込む為の準備で砕石を敷き込みます。
奥に見えるブルーシートが先ほどのもの。
お家の中にコンクリートを打設するのに、少量でしたら圧送機などは使用しないでバケツで運びます。その時に床を汚さない為のブルーシートです。
稀に下地で見えなくなるからと養生をしない職人さんもいますが、弊社は基本下地を綺麗に残したいと考えています。
見えないけど、土汚れや裏には人の足跡がある、仕上がれば見えなくなる部分かもしれませんが、見えなくなるからいいという考えでは綺麗な仕事は出来ません。
(気をつけてても着いてしまう汚れはありますが…)
「良い職人さんって何?」
お客様が絶対的に持つ疑問だと思います。
自論ですが、
・現場や道具がキレイ
・整理整頓されている
この辺りが最初の判断ではないでしょうか。
どうしても高額になるリフォーム工事ですので、お客様が見えない所にも気を遣いたいですね。
さて、話は戻り…
ワイヤーメッシュ敷き込み
打設コンクリートの強度を上げます。
ミキサーと呼ばれる機械でコンクリートを練って、運びます。
システムバスの設置高さに合わせてコンクリートを高さに合わせながら打設していきます。
打設後
これでシステムバス用の床下地は完了。
和室壁クロス下地
お次は和室の壁。
和室は京壁と呼ばれる塗り壁多いですが、今回の現場はクロスが施工してあった為クロスの貼り替えのご依頼。
しかし、写真のようにクロスを剥がすと、元々京壁が…
本来京壁にクロスは接着性が悪いのですが、パテを塗り込み無理矢理貼ったようです。
同じようにクロスを貼ることも出来ますが、今後の事を考えると下地をしっかりしておきたい。
思いきって京壁をスクレーパーで撤去して、下地の合板を貼ることにしました。
これで簡単にクロスは剥がれません。
室内下地
次はトイレスペースの作成。
浴室と脱衣室を広げた為、トイレのスペースが無くなってしまったので、工事をしない部屋の和室の押し入れを利用してトイレスペースを設置。
トイレの入り口は廊下に新設。
こんな事もリフォームでは可能です。
メインのLDKの天井も解体しましたが、
このように天井下地も設置。
難敵は壁でした…
床や天井のように一から作り直せるものはいいのですが、壁はそうはいきません。
箇所によって柱の大きさが違っていたり、写真のように背割り(木の乾燥時の変形を抑える為のもの)や木材の経年変形。
色々ありますが、これを真っ直ぐに綺麗な壁に仕上げたい。
お部屋が1.2㌢狭くなってしまいますが、柱内に下地を設置して壁の通りを直す事にしました。
床下地に通り墨を出して壁の位置を決めて、下地を作っていきます。
昔は柱の乾燥や製材技術があまり良くなかった為、大工さんが壁の通りを全部直しながら作るのが普通でした。
近年では材料の精度が良くなってきた為新築工事では行われない作業ですが、リフォームではまだ必須ですね。
大きなお金を出してるのに曲がった壁はイヤですよね?
僕はイヤです。
柱が変形していたりすると下地の通りも悪くなるので要所要所で柱を鉋掛けして調整します。
下地施工後
クロス下地となる石膏ボードの貼り方も考えながら下地を作ります。
個人的には写真のような下地の雰囲気がとても好きです。笑
壁の内部には断熱材をしっかり充填。外部に面している箇所には断熱材は必須です。
今回はこの辺りで。
まだまだ工事は続きます!